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バックオフィスDXで脱属人化|経理・人事・総務・法務・営業事務の効率化事例

作成者: ゼロ化編集部|Apr 3, 2026 12:37:39 AM

「あの人がいないとこの業務は回らない…」
経理や人事といったバックオフィス業務で、そんな属人化に頭を悩ませていませんか?

請求書の処理に追われる月末、ハンコのためだけの出社、担当者が休むと止まってしまう業務。これらは、多くの企業が抱える、"あるある"な悩みです。

人手不足が深刻化し、かつ人材の流動性も高まっている今、こうした状況を「仕方ない」と見過ごしていると、いずれ業務が立ち行かなくなるリスクがあります。

本記事では、そんなバックオフィス業務の課題を解決し、「脱属人化」と「業務効率化」を実現するための具体的な秘訣を、部門別に分かりやすく解説します。単なるコスト削減から一歩踏み出し、会社の成長を支える戦略的な部門へと変わるための、最初の一歩を一緒に踏み出しましょう。

1. なぜ今バックオフィスDXが必要?経営貢献への変革が急務な3つの理由

現代のビジネス環境は、これまでにないスピードで変化しており、企業が競争力を維持し、成長を続けるためには、バックオフィス業務の変革、すなわちDX(デジタルトランスフォーメーション)が不可欠となっています。これまで「守りの部門」とされてきたバックオフィスですが、今やその役割は大きく変わりつつあります。単なるコスト削減や効率化だけでなく、データを活用して経営戦略に貢献する「攻めの部門」への変革が求められているのです。この変化の波に乗り遅れないためには、なぜ今バックオフィスDXが必要なのか、その理由を正しく理解することが第一歩となります。本章では、その背景にある3つの大きな理由を、一つひとつ丁寧に解説していきます。

1-1. 深刻化する人手不足への備え

日本が直面している最も深刻な課題の一つが、少子高齢化による労働人口の減少です。特に、バックオフィス業務は定型的な作業が多く、これまで多くの人手をかけて維持されてきました。しかし、今後ますます採用が難しくなる中で、従来通りのやり方を続けていては、業務が立ち行かなくなるのは時間の問題です。多くの企業で使われている基幹システムが老朽化・複雑化し、その維持管理にかかる人手やコストが増大する一方で、データを活用できずにDXが遅れ、国際競争力を失ってしまうという問題も深刻です。バックオフィスDXは、こうした人手不足を補い、少ない人数でも業務を回せる体制を構築すると同時に、老朽化したシステムから脱却し、未来の成長基盤を築くための重要な一手なのです。

1-2. テレワーク推進を阻む「紙・ハンコ文化」からの脱却

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業でテレワークが急速に普及しました。しかし、「請求書を印刷して郵送するために出社する」「契約書にハンコを押すために上司の出社を待つ」といった経験をした方も多いのではないでしょうか。こうした「紙・ハンコ文化」は、柔軟な働き方を阻害する大きな壁となっています。バックオフィス業務に紙の書類や押印プロセスが残っている限り、完全なテレワークは実現できず、従業員の生産性や満足度も低下してしまいます。バックオフィスDXを推進し、請求書や契約書を電子化したり、稟議申請をシステム上で行えるようにしたりすることは、場所を選ばない働き方を可能にし、優秀な人材の確保や定着にも繋がります。災害時などの事業継続計画(BCP)の観点からも、紙に依存しない業務フローの構築は急務といえるでしょう。

1-3. コスト削減から価値創造へ、変化するバックオフィスの役割

これまでバックオフィスは、直接的な利益を生まない「コストセンター」と見なされ、いかにコストを削減するかが主な命題とされてきました。しかし、DXによってその役割は大きく変わろうとしています。例えば、経費精算システムに蓄積されたデータを分析すれば、無駄な経費の傾向を掴んでコスト削減策を提案できます。また、採用管理システムのデータを分析すれば、どのような人材が自社で活躍しやすいかを見極め、採用戦略に活かすことも可能です。このように、バックオフィスDXは、単なる業務効率化に留まりません。社内に散在する様々なデータを収集・分析し、経営判断に役立つ知見を生み出す「プロフィットセンター」へと進化させる可能性を秘めているのです。コストを管理するだけの部門から、企業の価値創造に貢献する戦略的な部門へ。この役割の変化こそが、バックオフィスDXがもたらす最大のメリットの一つと言えるでしょう。

2. 【経理・財務編】バックオフィスDXで実現する業務効率化と法改正対応

経理・財務部門は、請求、支払い、記帳、経費精算など、企業の血液ともいえるお金の流れを管理する重要な役割を担っています。しかし、その業務は紙の書類や手作業が多く、月末月初の繁忙期には残業が常態化しているケースも少なくありません。さらに、近年では電子帳簿保存法やインボイス制度といった法改正への対応も急務となっています。こうした課題を解決する鍵こそが、バックオフィスDXです。請求書や領収書のペーパーレス化はもちろんのこと、面倒な入力作業を自動化することで、業務は劇的に効率化されます。これにより、経理担当者は単純作業から解放され、より専門的な分析や資金繰りの計画といった、付加価値の高い業務に集中できるようになるのです。

2-1. 請求書・領収書のペーパーレス化で電帳法・インボイス制度に対応

2022年に改正された電子帳簿保存法や、2023年から始まったインボイス制度への対応は、多くの経理担当者にとって大きな課題となりました。紙で受け取った請求書や領収書をファイリングし、7年間保管するのは大変な手間とコストがかかります。バックオフィスDXの一環として、請求書受領システムやクラウドストレージを導入することで、これらの書類を電子データのまま受け取り、法律の要件を満たした形で簡単に保存できます。例えば、取引先からメールで送られてきたPDFの請求書を、そのままシステム上で承認し、自動で仕訳データを作成して保管する、といった流れが実現可能です。これにより、郵送やファイリングの手間がなくなるだけでなく、検索性も向上し、過去の書類をすぐに見つけ出せます。法改正への対応と業務効率化を同時に実現できる、まさに一石二鳥の施策といえるでしょう。

2-2. RPAとAI-OCRで実現する入金消込・仕訳入力の完全自動化

経理業務の中でも特に手間がかかるのが、売掛金の入金消込や、領収書の内容を会計ソフトに入力する仕訳作業です。これらの手作業は、時間がかかるだけでなく、入力ミスが発生するリスクも常に伴います。ここで活躍するのが、RPA(Robotic Process Automation)とAI-OCR(光学的文字認識)です。まず、AI-OCRを使って、紙の請求書や手書きの領収書をスキャンし、書かれている文字をテキストデータに変換します。そして、そのデータをRPAが自動で会計ソフトの所定の項目に入力していくのです。まるで、デジタルのロボットが人間の代わりに面倒な入力作業をすべて肩代わりしてくれるようなイメージです。これにより、担当者は目視での確認作業から解放され、月末月初に集中しがちな業務負荷を大幅に軽減できます。ヒューマンエラーがなくなることで、データの正確性も格段に向上するでしょう。

2-3. 経費精算システムの導入で申請者・承認者双方の工数を削減

営業担当者が外出先で使った交通費や接待費の精算は、多くの企業で非効率なまま残っている業務の一つです。申請者は領収書を糊で紙に貼り付け、Excelで作成した申請書と一緒に経理に提出し、承認者はその内容を一つひとつチェックしてハンコを押す…といった光景は珍しくありません。経費精算システムを導入すれば、こうした一連のプロセスをスマートフォン一つで完結させることができます。例えば、スマホアプリで領収書を撮影するだけで金額や日付が自動で読み取られ、交通費は乗換案内アプリと連携して自動で計算されます。申請者は数タップで申請を完了でき、承認者も外出先からスマホで内容を確認して承認できます。これにより、申請者・承認者・経理担当者の三者全員の工数が大幅に削減され、不正申請の防止や、経費データの迅速な可視化にも繋がるのです。

3. 【人事・労務編】バックオフィスDXで従業員体験を高め多様な働き方を支援

人事・労務部門の役割は、給与計算や社会保険手続きといった事務作業だけではありません。従業員が安心して、やりがいを持って働ける環境を整え、組織全体のパフォーマンスを向上させることも重要なミッションです。バックオフィスDXは、このミッションを達成するための強力な武器となります。例えば、勤怠管理や各種申請をクラウド化することで、従業員は場所や時間にとらわれずに手続きを行えるようになり、働き方の自由度が高まります。また、人事担当者も煩雑な事務作業から解放され、従業員一人ひとりと向き合う時間や、より良い制度を企画する時間を確保できるようになります。従業員体験(EX)の向上は、優秀な人材の定着に直結します。人事・労務分野のDXは、企業と従業員の双方にとって大きなメリットをもたらすのです。

3-1. クラウド勤怠管理で実現するリアルタイムな労働時間把握

タイムカードをガチャンと押して出退勤を記録し、月末にその時間をExcelに手入力して集計する。こうした従来型の勤怠管理は、集計に手間がかかるだけでなく、テレワークや直行直帰といった多様な働き方に対応するのが困難です。クラウド型の勤怠管理システムを導入すれば、従業員はスマートフォンやPCから、いつでもどこでも簡単に出退勤の打刻ができます。GPS機能と連携して、特定の場所でしか打刻できないように設定することも可能です。管理者は、ダッシュボードで全従業員の労働時間をリアルタイムに把握でき、残業時間が一定を超えそうな従業員には自動でアラートを出すこともできます。これにより、集計作業が自動化されるだけでなく、長時間労働の是正といったコンプライアンス強化にも繋がり、従業員が健康的に働ける環境づくりをサポートします。

3-2. 入退社手続きの電子化で人事担当者の事務負担を大幅に軽減

従業員の入社や退社に伴う手続きは、人事・労務部門にとって非常に煩雑な業務の一つです。入社時には、雇用契約書や身元保証書、年金手帳のコピーなど、多くの書類を回収し、社会保険や雇用保険の加入手続きを役所で行う必要があります。これらの手続きを電子化するシステムを導入すれば、業務負担を劇的に軽減できます。例えば、新入社員はPCやスマートフォンから必要な情報を入力し、必要な書類もデータでアップロードするだけで手続きが完了します。システムがその情報を基に、役所への電子申請に必要な書類を自動で作成してくれるのです。これにより、書類の郵送や手渡しの手間、役所へ出向く時間がなくなり、人事担当者は本来注力すべき新入社員のフォローや研修の企画などに、より多くの時間を使えるようになります。

3-3. 採用管理システムの活用で選考プロセスを可視化しミスマッチを防ぐ

優秀な人材の獲得競争が激化する中、採用活動の効率化と質の向上は企業にとって死活問題です。しかし、複数の求人媒体からの応募者情報をExcelで管理したり、面接官ごとに評価がバラバラだったりすると、対応が遅れたり、採用のミスマッチが起きたりする原因になります。採用管理システム(ATS)を導入することで、すべての応募者情報を一元管理し、誰がどの選考段階にいるのか、どのような評価を受けているのかを関係者全員でリアルタイムに共有できます。オンライン面接ツールとの連携や、面接日程の自動調整機能を使えば、採用にかかる時間(リードタイム)を大幅に短縮することも可能です。データに基づいて「どのような経路からの応募者が採用に繋がりやすいか」といった分析もできるため、採用戦略そのものを見直し、自社に本当にマッチした人材を獲得する確率を高めることができるでしょう。

4. 【法務・総務編】バックオフィスDXによる契約業務の迅速化とリスク管理強化

法務・総務部門は、契約書の管理や稟議申請の受付、備品管理など、会社全体の円滑な運営を支える「縁の下の力持ち」です。しかし、その業務は依然として紙ベースで行われていることが多く、意思決定のスピードを遅らせる原因となっていることも少なくありません。特に契約業務は、企業の権利を守り、リスクを管理する上で極めて重要ですが、製本・押印・郵送といったプロセスに多くの時間とコストを要します。バックオフィスDXをこの領域で進めることは、業務のスピードアップだけでなく、コンプライアンス強化やリスク管理の高度化にも直結します。デジタル技術を活用することで、法務・総務部門は守りの業務を効率化し、より戦略的な役割を担うことが可能になるのです。

4-1. 電子契約の導入で印紙代削減と契約締結までの時間を短縮

取引先との間で交わされる契約書には、契約金額に応じて収入印紙を貼付する必要がありますが、これは企業にとって決して小さくないコストです。また、契約書を作成し、印刷・製本して相手方に郵送し、押印後に返送してもらうという一連の流れは、数週間かかることも珍しくありません。電子契約サービスを導入すれば、これらの課題を一挙に解決できます。電子契約は、法的に有効な電子署名とタイムスタンプを利用して、クラウド上で契約を締結する仕組みです。紙の契約書ではないため、収入印紙を貼る必要がなく、印紙税がまるごとコスト削減に繋がります。契約プロセスも、メールで相手に送信し、相手が内容を確認してクリックするだけで完了するため、これまで数週間かかっていたものが、わずか数分で締結できるケースもあります。テレワーク環境下でも契約業務が滞らないという点も、大きなメリットと言えるでしょう。

4-2. AI契約書レビューで法務担当者のチェック業務を効率化

契約書のレビュー(審査)は、自社に不利な条項や法的なリスクがないかを確認する、法務部門の非常に重要な業務です。しかし、数十ページにも及ぶ契約書を、一字一句、集中力を切らさずに読み込むのは大変な労力を要し、担当者の経験や知識に依存しがちです。ここにAI(人工知能)を活用した契約書レビューツールを導入することで、チェック業務を大幅に効率化し、かつ高度化させることができます。ツールに契約書のファイルをアップロードすると、AIが瞬時に内容を解析し、「自社にリスクのある条項」「不足している条項」「修正すべき表現」などを自動で指摘してくれます。これにより、法務担当者はAIが示したポイントに集中して確認すればよくなり、レビュー時間を大幅に短縮できます。見落としなどのヒューマンエラーを防ぎ、組織全体の法務リスクを低減させる効果も期待できる、頼れるアシスタントです。

4-3. ワークフローシステムで稟議・社内申請のペーパーレス化を推進

「備品を購入したい」「新しい取引先と契約したい」といった様々な社内申請や稟議。これらを紙の書類で回覧していると、「今、誰のところで承認が止まっているのか分からない」「上司が出張中で承認が進まない」といった問題が頻発し、業務の停滞を招きます。ワークフローシステムは、こうした社内のあらゆる申請・承認プロセスを電子化するためのツールです。申請者はPCやスマホからフォーマットに沿って入力するだけで申請でき、承認ルートはあらかじめ設定された通りに自動で回覧されます。承認者は外出先からでも内容を確認して承認ボタンを押すだけで済み、プロセス全体の進捗状況も可視化されるため、ボトルネックがどこにあるのかも一目瞭然です。意思決定のスピードが格段に向上するだけでなく、承認の履歴もすべて記録されるため、内部統制の強化にも繋がります。

5. 【営業事務編】バックオフィスDXで実現するバックヤードからの営業力強化

営業事務は、受発注処理や見積書作成、顧客からの問い合わせ対応など、営業担当者を後方から支援する重要な役割を担っています。この部門の業務効率が上がれば、営業担当者は顧客との対話や提案活動といったコア業務に、より多くの時間を割くことができるようになります。つまり、営業事務のDXは、単なるバックヤードの効率化に留まらず、会社全体の営業力を底上げすることに直結するのです。FAXで届く注文書の手入力や、属人化しがちな顧客情報の管理といった課題をデジタル技術で解決することで、ミスを減らし、顧客対応の質を高め、バックヤードから営業活動を力強くサポートする体制を構築できます。

5-1. FAX受注業務のデジタル化で入力ミスと工数をゼロに

多くの業界、特に製造業や卸売業では、いまだにFAXで注文書が送られてくる文化が根強く残っています。担当者は、受信したFAXの紙を見ながら、書かれている品番や数量を基幹システムに手で入力するという作業に追われています。この作業は時間がかかる上に、読み間違いや入力ミスといったヒューマンエラーが発生しやすく、誤出荷などのトラブルの原因にもなりかねません。クラウドFAXサービスとAI-OCRを組み合わせることで、この課題を解決できます。FAXを紙で受信する代わりに電子データとして受け取り、AI-OCRが注文書に書かれた文字を自動で読み取ってテキストデータに変換します。さらにRPAを活用すれば、そのデータを基幹システムへ自動で登録することも可能です。これにより、手入力の作業工数と入力ミスを限りなくゼロに近づけ、担当者は確認作業やイレギュラー対応に集中できるようになります。

5-2. SFA/CRM連携で顧客情報を一元化し属人化を解消

「あの顧客の担当はAさんだから、Aさんがいないと何も分からない」といった状況は、多くの企業で起こりがちな「属人化」の問題です。顧客情報や過去の商談履歴が、各営業担当者の手帳や個人のPCの中にしか存在しないと、担当者が不在の際に迅速な顧客対応ができなかったり、異動や退職時に引き継ぎがうまくいかなかったりします。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)を導入し、営業事務部門も活用することで、すべての顧客情報を一元的に管理・共有できます。営業担当者が入力した商談の進捗状況を営業事務が確認し、適切なタイミングで見積書を作成したり、顧客からの問い合わせに営業担当者に代わって的確に回答したりすることが可能になります。これにより、組織全体で顧客対応の品質を向上させ、顧客満足度を高めることができるのです。

5-3. チャットボット導入で問い合わせ対応を自動化し顧客満足度を向上

営業事務の重要な業務の一つに、顧客からの電話やメールでの問い合わせ対応があります。しかし、「在庫はありますか?」「納期はいつですか?」といった定型的な質問に多くの時間を取られてしまうと、より複雑な対応や他の業務に支障が出てしまいます。そこで有効なのが、Webサイトなどにチャットボットを導入することです。チャットボットは、「よくある質問」に対して24時間365日、人間に代わって自動で回答してくれるプログラムです。顧客は、電話が繋がるのを待ったり、メールの返信を待ったりすることなく、知りたい情報をその場で自己解決できます。これにより、顧客満足度が向上するだけでなく、営業事務の担当者は、人でなければ対応できないような、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。社内からの問い合わせ対応に活用するのも非常に効果的です。

6. 【全社共通】バックオフィスDXを加速させるデータ活用基盤と内製化文化

これまで部門別にバックオフィスDXの具体例を見てきましたが、その効果を最大化し、全社的な変革へと繋げるためには、部門を横断した共通の取り組みが不可欠です。その鍵となるのが、「データ活用基盤」の整備と、現場主導で改善を進める「内製化文化」の醸成です。各部門のシステムがバラバラに導入され、データが分断されたままでは、部分的な効率化に留まってしまいます。全社のデータを一元的に集約・分析できる基盤を整えることで、初めて経営全体を俯瞰した意思決定が可能になります。また、IT部門や外部の専門家任せにするのではなく、現場の従業員自身がツールを使いこなし、日々の業務を改善していく文化を育むことが、持続的なDXの推進力となるのです。

6-1. ノーコードツールで現場主導の業務改善を促進

「業務を効率化するために、こんな簡単なアプリがあったらいいのに…」現場で働く誰もが一度はそう思ったことがあるでしょう。しかし、従来はシステム開発には専門的なプログラミング知識が必要で、IT部門に依頼してもすぐには対応してもらえない、というジレンマがありました。この状況を大きく変えるのが「ノーコードツール」です。これは、プログラミングのコードを書くことなく、まるでパワーポイントやExcelを操作するような感覚で、業務用のアプリケーションを自作できるツールです。例えば、日報の報告アプリや、備品の在庫管理アプリ、簡単なアンケートフォームなどを、ITの専門家ではない現場の担当者が自分たちの手で作成できます。これにより、現場のニーズに即した改善がスピーディーに行えるようになり、従業員の「自分たちで良くしていこう」という当事者意識も高まります。

6-2. BIツールで経営データを可視化しデータドリブン経営を実現

多くの企業では、売上データは販売管理システムに、経費データは会計システムに、勤怠データは勤怠管理システムに、というように、重要な経営データが各システムに散在しています。これでは、会社の全体像を正確に把握し、迅速な意思決定を行うことは困難です。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、こうしたバラバラのシステムからデータを集約し、グラフや表など、直感的に分かりやすい「ダッシュボード」の形で可視化するためのツールです。例えば、「どの商品の売上が伸びているのか」「どの部門で残業時間が増えているのか」といった状況が一目で把握できるようになります。これにより、経営者は勘や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータに基づいた的確な意思決定、すなわち「データドリブン経営」を実現できます。バックオフィスDXで各業務をデジタル化することは、このデータドリブン経営を実現するためのデータを集める、という重要な意味も持っているのです。

7. バックオフィスDXを成功に導く!失敗しないための3つの重要ポイント

バックオフィスDXの重要性や具体的な手法について解説してきましたが、いざ始めようとしても「何から手をつければいいのか分からない」「ツールを導入したものの、うまく活用できていない」といった壁にぶつかる企業は少なくありません。DXは単に新しいツールを導入すれば終わり、というわけではないのです。成功のためには、しっかりとした計画と戦略に基づき、組織全体で取り組む姿勢が求められます。ここでは、数々の企業が陥りがちな失敗を避け、バックオフィスDXを着実に成功へと導くために、特に重要となる3つのポイントを厳選してご紹介します。

7-1. まずはスモールスタート!身近な定型業務から始めるのが成功の鍵

DXと聞くと、つい大規模なシステム刷新や全社的な業務改革をイメージしてしまいがちですが、最初から大きな目標を掲げすぎると、計画が複雑になりすぎて頓挫してしまったり、現場の抵抗に遭ってしまったりするリスクが高まります。成功への近道は、まず「スモールスタート」で始めることです。例えば、経理部門の経費精算や、総務部門の備品購入申請など、比較的小さな範囲で、かつ効果を実感しやすい身近な定型業務からDXに着手してみましょう。そこで小さな成功体験を積み重ね、ツールの便利さや業務が楽になる感覚を関係者が実感することが重要です。その成功事例をモデルケースとして他部署へ横展開していくことで、全社的なDXへの機運が自然と高まっていきます。焦らず、着実に一歩ずつ進めることが、結果的に最も早くゴールにたどり着く方法なのです。

7-2. 目的の明確化が重要!ツール導入をゴールにしないための目標設定

バックオフィスDXで最も陥りやすい失敗の一つが、「ツールを導入すること」自体が目的になってしまうことです。話題のRPAツールや電子契約サービスを導入したものの、現場の業務フローに合わずに使われなくなってしまったり、期待したほどの効果が得られなかったりするケースは後を絶ちません。こうした事態を避けるためには、ツール導入の前に「何のためにDXを行うのか」という目的を明確にすることが不可欠です。「請求書処理にかかる時間を月間で50時間削減する」「契約締結までのリードタイムを平均3日に短縮する」といった、具体的で測定可能な目標(KPI)を設定しましょう。目的が明確であれば、数あるツールの中から自社の課題解決に最も適したものを選ぶことができますし、導入後もその目標が達成できているかを定期的に評価し、改善を続けていくことができます。

7-3. 専門家の支援でDXを加速!バックオフィスDX支援サービス「ゼロ化」の紹介

「DXの重要性は理解できたけれど、社内に専門知識を持つ人材がいない」「どの業務から手をつければ良いのか、客観的なアドバイスが欲しい」。そうお考えの経営者様やご担当者様も多いのではないでしょうか。自社だけでDXを進めるのが難しいと感じる場合は、外部の専門家の力を借りるのも非常に有効な選択肢です。私たちパーソルビジネスプロセスデザインの「ゼロ化」サービスでは、多くの企業のDXを支援してきた経験から、成功のノウハウや失敗しないためのポイントを熟知しています。何から始めるべきかという課題の整理から、最適なツールの選定、導入後の定着支援まで、一貫してサポートを受けることで、自社だけで進めるよりも早く、そして確実にDXを成功へと導くことができます。もしバックオフィスDXの進め方にお悩みでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。貴社の課題に寄り添い、最適なDXの第一歩を共に踏み出します。