こんにちは、編集部です。
突然ですが、みなさんにとってAIはどんな存在ですか?
仕事を手伝ってくれる助手。知らないことを聞いたらなんでも答えてくれる先生。あるいは、人には言えない悩みもAI相手なら気軽に打ち明けられるという方も多いのではないでしょうか。
一方で、「自分の仕事はいつかAIに奪われてしまうのではないか」。そんなふうに考えたことがある人も多くいると思います。
今日は、バックオフィスDXの事例として「請求書の発行業務」という仕事をAIに任せてみたら、人の仕事が奪われるという結末には至らず、むしろ社員のエンゲージメントが向上した話を紹介します。
今度は企業の「フロント側(事業部門や営業部門など)」でお仕事をしている方々にお聞きします。みなさんは「バックオフィス」と聞いて、どんなイメージを抱きますか?
「いつも静かで平和な部署」「事業部の熱量があまり伝わらない人たち」「AIに取られそうな事務仕事」
もし少しでもそう思っているなら、少しだけ耳を傾けて聞いてください。
ほとんどすべての会社の事業は、本記事で紹介する請求管理部門のようなバックオフィスの方々のおかげで成り立っています。売上や受注といった、注目されやすい数字を直接つくる仕事ではありません。しかし、彼らが止まれば会社は止まります。
それなのに、いつしか無理なお願いも「やってくれて当然」と思っていないでしょうか。現場の営業さん、イレギュラーな依頼が常態化していませんか。「期限ギリギリなんですけど、これ今日中に対応お願いします!」と、今日も涼しげな顔でメールを送っていませんか。それ、何回目でしょう。そもそも「イレギュラー」の意味、ご存知ですか。
結果的にいつも対応してくれるから、また今月もやってくれる。お礼にチョコレートでも渡しておけば笑って許してくれる。部長さん、まさかそんなふうに思っていませんか。毎月当たり前のように業務が回っているのは、バックオフィスのみなさんのとんでもない「綱渡り」の賜物なんです。私たちはもっと、バックオフィスの方々に感謝しましょう。
さて、本題です。ご紹介するのは「請求業務のゼロ化」としてご支援した事例です。
「請求書の発行業務」は、業種やサービスによって自動化の難易度が大きく異なります。販売価格が明確なものや、契約内容のばらつきが少ないサービスなら、ERPやCRM連動の専用システムなどでボタンをクリックするだけで自動発行・送付まで完結できるでしょう。
しかし、たとえば人材派遣や業務委託などのサービスを提供している企業ではそうもいかず、自動化が難しいのです。
主な理由は、「契約ごとに仕様がバラバラ」だからです。たとえば、派遣先での勤怠の管理方法(1分単位か15分単位か、など)、請求書に記載する項目や記載要領、請求書に同封する添付書類などが、契約先ごとに異なります。ERP上で契約ごとの大まかな条件は管理されていることが多いですが、そこに入り切らない、かつ体系化できない「細かい要件」がいくつもあります。
そうした要件は、各契約の担当PM(営業窓口のような人)から請求管理部門宛に送付される「請求書作成指示書」に記載されています。請求管理部門は、この非定型かつ非構造の指示書を一通ずつ読み解き、実績と乖離が出ないよう、細心の注意を払って請求書を作成します。
さらに、請求書発行後の工程も手作業が残ることが多くあります。たとえば多くの場合、契約先の各社が指定する管理システムへ、作成したデータを入力して同期(連携)することが求められます。この指定のシステムがまたしても各社バラバラかつ独自仕様の場合もあります。どうしても自動連携できない場合、最後は「人の手」による入力作業が残ってしまうのです。
従来の請求書発行業務の大まかな業務フロー
「契約の仕様を統一すれば良いのでは?」――まさに、言うは易しなのです。それはお客様各社の労務管理ルールや商習慣を「こちらの都合で変えてください」と強制することと同義であり、非現実的です。法律の範囲内で各社が整備しているルールですから、そのルールにこちらが合わせるほうが妥当であり、それがこの業務の前提にある現実でした。
こうした「システムの隙間を人間が必死に埋める」構造は、現場に大きな負荷を強いていました。
お金と信用に関わる請求という業務だからこそ、ミスが許されないというプレッシャーが担当者の心を削ります。
請求書発行という業務の特性上、どうしても月初に短納期の業務が集中します。「月初にインフルエンザなどの感染症が流行ったら詰む」。現場には常にそのような緊張感もあったと想像できます。
負荷が月初に集中する。逆にいえば月初以外の稼働を考慮すると、体制を増やす選択もしづらい。そうした構造的な理由からどうしても少人数体制で業務に臨む実態があり、離職者が出るとより一層負荷が拡大するというリスクがありました。
この「人間が判断するしかなかったタスク」を解決するために、私たちは2つの技術を組み合わせました。
バラバラな形式で届く「作成指示書」や「契約要件」をAIに読み込ませ、「いつまでに何をすべきか・次に何をすべきか」といったことを判断させます(人間の「脳」の代わり)。
AIが導き出した判断結果をもとに、実績の確認作業や、各社のシステムへ入力・同期を自動で行います(人間の「手」の代わり)。
※本記事でお伝えできなかった詳しい実装方法や技術的なご案内については、ぜひお気軽にお問い合わせください。 ■お問い合わせはこちら:https://zeroka.jp/contact
結果は劇的でした。定量的な数字で言えば、作業工数は76%削減。納期は80%も短縮されました。
しかし後日、それ以上に効果があったポイントが発覚しました。
運用後のヒアリングの結果、現場から上がってきたアンケートでは、単に「業務が楽になった」という点よりも「心理的負荷が消えた」という点について多く言及されていることがわかりました。
「ミスできない」というプレッシャーから解放され、余裕をもって業務に臨める。「時間に追われるタスク」が減ったことで、本来やりたかった業務改善や他部門への細やかなサポートに時間を使えるようになる。
実際に、請求業務から人の仕事がまったく無くなったわけではありません。ラストワンマイルの確認・処理対応や部門をまたぐ担当者間でのコミュニケーション、そしてAIにはできない「イレギュラーが多い営業さんのサポート」にエネルギーを使えるようになったことで、職場の労働満足度(エンゲージメント)が向上したのです。
バックオフィスDXは単なるコストカットの手段ではありません。「人」に寄り添い、「ミスできない作業」や「時間に追われる業務」から解放し、日々の課題を克服して前向きな現場に変えていくための挑戦です。
私たちパーソルビジネスプロセスデザインは、『あらゆる仕事と組織を革新し、「より良いはたらく環境」があふれる社会をつくる』というミッションを掲げています。そして、「ゼロ化」というサービスを通じて、テクノロジーの力で「はたらく人の課題」をゼロにすることを目指しています。
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